アスファルト防水
2022/08/03
アスファルト防水の基礎知識
アスファルト防水 とは、合成繊維不織布にアスファルトを含浸・コーティングしたルーフィングを複数枚貼り重ねて防水層を形成する工法です。日本の建築現場で古くから採用されてきた防水工法であり、現在も公共施設やビルの屋上などで多く用いられています。
アスファルト防水の最大の特徴は、長寿命で安定した防水性能を発揮することです。
施工後の耐用年数は15〜20年が目安とされ、他の防水工法に比べても歴史的な実績が豊富です。
アスファルト防水には大きく分けて次の3種類があります。
・熱工法
・トーチ工法
・常温工法(冷工法)
それぞれの工法の仕組みやメリット・デメリットを理解することで、建物に合った最適な防水方法を選ぶことが出来ます
アスファルト防水のメリットとデメリット
メリット
・高い防水性能と長年の信頼性
・耐久性が高く、寿命は15〜20年
・広い屋上や大規模建築に適している
・工法のバリエーションが豊富で建物条件に対応しやすい
・公共施設・マンション・工場など、大規模施設で安定した性能を発揮
デメリット
・施工後に重量が大きく建物に負担がかかる
・熱工法やトーチ工法では火気を使うためリスクがある
・熟練職人の技術が必要で、施工精度に差が出やすい
・煙や臭いが発生し、環境面での課題がある
アスファルト防水の主要な工法
熱工法
アスファルト溶融釜で220℃~270℃に溶融した防水工事用アスファルトを用い、
ルーフィングシート複数枚を交互に積層して防水層を作る工法
(特徴)
防水層を完成させるまでの作業時間の中に養生時間や養生期間がなく、防水層を容易に作ることができ る。「アスファルトは熱すると液状になり、冷えると固体状になる」という性質をうまく防水工事に適用しています。
ですが、この工法の問題点は溶融したアスファルトの異臭や煙を放つこと、溶融温度が220℃~270℃と極めて高温であることから近隣の環境問題や、作業員の火傷などの危険性があります。
メリット:アスファルト防水を短時間で完成でき、養生期間が不要。雨が多い季節でも施工可能。
デメリット:高温による火傷や煙害リスクがあり、近隣環境への配慮や施工管理に注意が必要。
トーチ工法
改質アスファルトシートをバーナーであぶり、下地に溶着させて施工する工法です。
(特徴)
段取りが簡素であり、改質アスファルトルーフィングシートを炙り融かして下地に張り付けるだけの簡単な作業で容易に防水層を作ることができます。
ですが、トーチバーナーの火炎が強いことや温度が1000℃以上にもなることから、改質アスファルトシートに火炎を当てればすぐに融ける錯覚が生じてしまうため、炙り不足などの施工不良が原因による早期劣化や雨漏りなどの不具合が多く発生してしています。
コストパフォーマンスに優れた工法ではありますが、精度の高い丁寧な作業があってこそ防水性能が発揮されます。
メリット:アスファルト防水の中でも比較的簡易でコストパフォーマンスに優れる。。
デメリット:炎の扱いに注意が必要で、施工精度に左右されやすく、早期劣化や雨漏りリスクがある。
常温工法(冷工法)
粘着層付きのアスファルトシートを畜層し、熱を使わずに施工する工法
(特徴)
多くの改修工事現場で採用されているのが常温工法(冷工法)で、熱を使わず防水層を作ることができ、近年最も主流な工法。
その代わり、熱を使用する工法と比べると防水層の密着度が劣り、防水効果が低くなってしまう場合がある。
メリット:火気を使わず安全に施工できる。改修工事で多く採用されている。
デメリット:アスファルト防水の他工法に比べると密着度が弱く、防水性能が低下する場合がある。
他防水工法との比較
近年は「ウレタン防水」や「塩ビシート防水」も普及していますが、
アスファルト防水は★長寿命、★厚みのある防水層、★実績豊富という点で優れています。
ただし、重量や火気リスクを考えると、建物の条件によっては他工法を選択するケースもあります。
アスファルト防水と他防水工法を比較し、建物の用途や状況に応じて適切に判断することが重要です。
「ウレタン防水」との比較
「ウレタン防水」は、液体状の防水材を塗布して防水層を形成する工法です。
メリット:複雑な形状にも対応でき、シームレスで継ぎ目がない。
デメリット:耐用年数は10〜12年と短めで、定期的な塗り替えが必要。
👉 アスファルト防水に比べて寿命は短いものの、施工性の高さが強みです。
「塩ビシート」との比較
「塩ビシート防水」は、塩化ビニル製のシートを接着または機械固定する工法です。
メリット:軽量で建物への負担が少ない。施工スピードが速い。
デメリット:シートの劣化や破れに注意が必要で、耐用年数は12〜15年程度。
👉 アスファルト防水よりも軽量ですが、耐久性の面では劣る場合があります。
比較のまとめ
「アスファルト防水」:耐久性と長寿命が魅力(15〜20年以上)
「ウレタン防水」:施工の自由度が高く複雑な形状に強い
「塩ビシート防水」:軽量で施工が早い
それぞれにメリット・デメリットがあるため、建物の条件や改修目的に合わせて最適な工法を選ぶことが重要です。
アスファルト防水の施工手順
①下地処理
施工前にコンクリート表面を清掃し、ひび割れや不陸を補修して下地を整える。
②防水工法の選択
建物の構造・立地・使用目的に応じて、熱工法・トーチ工法・常温工法から適切な工法を選ぶ。
③仕上げ
防水層の上に押さえコンクリートや保護材を施工し、防水性能を長持ちさせる。
アスファルト防水のメンテナンスと改修方法
アスファルト防水は丈夫ですが、経年劣化は避けられません。
亀裂や浮きが見られたら、早めにメンテナンスすることが大切です。点検や部分補修を定期的に行うことで、アスファルト防水の寿命を最大限に伸ばせます。
☆定期点検
5年ごとを目安に点検を行い、ひび割れ・膨れ・剥がれを早期発見。
☆補修工法
軽度の劣化は部分補修で対応可能。パッチ補修や部分的な張り替えを行う。
☆改修工法
全体的な劣化が進んでいる場合は、既存層を撤去し再施工する大規模改修工事が必要。
まとめ
アスファルト防水は日本の建築現場で長く使用されてきた実績ある防水工法です。
・厚みのある防水層
・長寿命で信頼性が高い(5年~10年)
・大規模建築物に適している
アスファルト防水は正しい施工とメンテナンスを行えば20年以上建物を守る力を発揮します。
一方で重量や施工リスク、環境への影響と言った課題もあるため、建物の条件に合わせた工法選択と、 経験豊富で適切判断と技術力を持つ施工業者への依頼が不可欠です。
アスファルト防水に関するご相談はリスペックへ
「アスファルト防水を検討している」「既存のアスファルト防水を改修したい」という方は、ぜひリスペックへご相談ください。


